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自分の心を治める真の勇士

野々村先生                                                   虎猫
主の御名を賛美いたします。
私虎猫は6月初めから急に入院いたしましたが、お陰様で、7月末に予定を早めて退院できました。
外を出歩くことも自由、何でも食べることもできる、というだけで、毎日毎日、体力が少しずつ回復していることが実感できます。
退院直後には、外出時に足元がふらつき、しょっちゅう転びそうになりました。
介護用品の店を見つけて、安全靴、ついでに杖まで買いました。
血色もよく髪の毛も黒々している男が杖を選んでいるのを見て、店員さん(年配の女性)がでてこられ「ご本人様がお使いになるのですか?」とびっくりされていました。
長さを自由に調節できる杖を選んだのですが、私はまだ手指のしびれが残って力が入りません。長さ調節のボタンを押すことができなかったのです。店員さんは私に杖を持たせてくださり、長さを私に合わせて調節してくださいました。
数日たつと、杖は、使うこともなくなり、いまや部屋の片隅に転がっています。

ただ、私の精神状態で気になることがあります。
ちょっとしたことで、異様に怒りがこみあげてきて、人を怒鳴りつけることがしばしばあるのです。自分で抑えようとしても抑えられないのです。
退院の翌日、大型家電販売店に行ったとき、携帯電話会社のキャンペーンをやっていました。男性がマイクを使って大音声で「本日最終日、本日最終日!」と連呼しているのです。
場所はエスカレーター・ホール。建物いっぱいに響き渡る大声です。
私は、穏便に済ませようとして、家電販売店のサービス・カウンターにいた女性に声をかけました。「少しうるさすぎますね。」
女性店員も気になっていたらしく、すぐ電話キャンペーンの男性の方に近づき、やんわりと話しかけました。
急に私の胸の中で、どす黒いものがこみあげてきました。女性の優しい声ではこの男たちは言うことを聴いてくれない、これではだめだ、という思いです。
そのときはもう口を開いていました。
「おい、いい加減にしろ!何考えているんだ、とっととやめろ!」
自分で自分の声にびっくりしました。どこからこんな声が出てくるのかと思うほどの大声でした。
そして「これはいけない。おそらく、体力の低下や薬の副作用などで、自分を抑制する力が失われている、このままでは、あちこちで人を怒鳴りつけたりして、とんでもない摩擦を引き起こす。」と思いました。おとなしくしていよう、怒鳴りそうになったら一呼吸置こうと思ったのです。

ところがその翌日のこと。
私のマンションに大規模修繕工事が入る予定で、業者さんからの案内が掲示板に掲示され、また各戸にも案内が配られていました。
その案内の内容がよくわからなかったので、指定の照会先に電話を入れました。
ご担当の方の説明を聞いているうちに、またあのどす黒いものがこみあげてきました。
「洗濯物を干せるかどうかは住民にとって一番肝心の情報でしょう。日常生活の注意はちゃんと掲示する、という約束だったでしょう。そんな程度のことがどうしてできないのか。すぐやりなさい!」
相手をやり込め、プライドを傷つけて、暗い喜びを味わう。あるいは、人を恐怖とパニックに陥れて、有無を言わせず言うことを聴かせることに達成感を覚える、とでもいうか。
(幸い、怒鳴り声は標準語でやっていました。これをきつい大阪弁でやると、すごいことになってしまいます。NHK朝のドラマの太巻さんを思い出してください。)

お恥かしいことですが、どのようにして自分を抑えることができるのか、どうふるまえばよいのか、アドバイスをいただきたいのです。
いまでもお元気で少年サッカーチームを率いておられる先生なら、きっと良いアドバイスをいただけるかと存じます。


虎猫様                                           野々村勝也
拝復
ご退院おめでとうございます。
この暑さです。どうか無理をなさらず、ゆったりと養生を続けてください。
いただいたお手紙を拝見して、虎猫さんがご自身らしくない立ち居振る舞いを懸念されていることが、よくわかりました。一方では、冷静な虎猫さんらしい客観的な分析がされています。
私がアドバイスというのはおこがましいのですが、一つだけ申し上げます。
いまの「どす黒い怒り」は、たとえば、ご年配の方が若い人をきつく叱りつけて摩擦を引き起こしている姿を彷彿とします。
神様は、病という試練を通して、虎猫さんに「世の中には自分の怒りをコントロールすることも難しい人もいる。よく理解しておくように。『どす黒い怒り』に苦しむ人もいることを忘れないように。」と教えておられるのでしょう。

でも怒りはいつか鎮めなければなりません。怒りが解決できる問題は限定されています。
無用の摩擦が別の問題を引き起こします。ニュースなどで年配の方が若い人を注意したところ、若い人に逆切れされて暴力を振るわれた、というのを目にします。我慢のできなくなった年配の方の言動が、若い人をこれ以上もなく傷つけ粗暴なふるまいを引き起こしたのかもしれません。
でも、よく振り返ってみてください。
虎猫さんが怒鳴りつけたのは販売の方や業者さん、いわば弱い立場の方です。怒鳴られても叱られても耐えるしかない方々です。虎猫さんが多少粗暴なふるまいをしても、相手が攻撃してくるはずがない。そのように、無意識に計算したうえで「我慢しなくてよい、やってしまえ!」として、やってしまわれたのです。
冷静に振り返るなら、とても恥ずかしいことをなさったのです。

このひとときの体験と試練は神の恵みです。
ここからどれだけのことを学びとり、自らを鍛えることができるのか。後になって振り返ってみれば、得難い体験であったと感謝できるときが来るでしょう。
どうか、勇士を超える真の勇士を目指してください。

怒りをおそくする者は勇士にまさり、自分の心を治める者は町を攻め取るものに勝る。
(箴言第16章第32節)

虎猫
by covenanty | 2013-08-14 22:47 | エッセイ