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心に響く学長の式辞

4月18日の朝日新聞夕刊15面で「学長の式辞 響いた」という記事が掲載されていました。
東京造形大学の入学式での諏訪敦彦(のぶひこ)学長の式辞が名スピーチと話題になっているというものです。
学ぶことの大切さの核心をついた式辞であり、若い方にはとても参考になるでしょう。
若くありたいと思う方には自らを省みるに貴重なヒントをいただけるでしょう。
(*)全文は東京造形大学のホームページに掲載されています。

大学の授業に身が入らず、無名の作家たちの映画作りを手伝っているうちに自分はいっぱしの映画製作者と思っていた。しかし、大学に戻ってみると、同級生たちの作る映画が自由な発想にあふれ自分の作品を超えていることにショックを受けます。 

「授業に出ると、現場では必要とはされなかった、理論や哲学が、単に知識を増やすためにあるのではなく、自分が自分で考えること、つまり人間の自由を追求する営みであることも、おぼろげに理解できました。驚きでした。大学では、私が現場では出会わなかった何かが蠢いていました。
 私は、自分が「経験」という牢屋に閉じ込められていたことを理解しました
「経験という牢屋」とは何でしょう? 私が仕事の現場の経験によって身につけた能力は、仕事の作法のようなものでしかありません。その作法が有効に機能しているシステムにおいては、能力を発揮しますが、誰も経験したことがない事態に出会った時には、それは何の役にも立たないものです。しかし、クリエイションというのは、まだ誰も経験したことのない跳躍を必要とします。それはある種「賭け」のようなものです。失敗するかもしれない実験です。それは「探究」といってもよいでしょう。その探究が、一体何の役に立つのか分からなくても、大学においてはまだだれも知らない価値を探究する自由が与えられています。そのような飛躍は、経験では得られないのです。それは「知」インテリジェンスによって可能となることが、今は分かります。」(下線は虎猫)

また記事の中では京都大学の松本紘学長の式辞も紹介されていました。
これも一読の価値があります。
知識は危ないということを忘れないでください(中略)知識をそのまま金科玉条の如く信じてしまうことは危険です。特に私はインターネット時代の今それを強く感じています。(中略)溢れ出る情報を取捨選択する力、これをつけるのが大学において最初に学ぶべき事柄ではないかと思います。」(下線は虎猫)

知恵を捨てるな。それがあなたを守る。
これを愛せ、これがあなたを守る。

(箴言第4章第6節)


虎猫
by covenanty | 2013-04-23 22:09 | エッセイ