人気ブログランキング | 話題のタグを見る

冬の木々

木々は丸裸です。大地に根を張って、春の訪れをじっと待っています。
そして、こんな風に語りかけてきます。
「待っていろよ。また春になったら、緑いっぱい咲かせてやるからな。」
見上げると、木々の裸の枝のむこうには、冬の青空が広がっているのです。
冬の木々_f0136828_2002023.jpg


以前に読んだ小説でこんな箇所がありました。
長野まゆみ 「野川」 9頁

武蔵野の野川を舞台にした小説です。
高等学校の先生が生徒たちに語る言葉です。
「たっぷり水気をふくんだ粘土質の土壌は、1年を通して湿潤で、登下校のさいに君たちに踏みつけて固めても、ひとたび雨がふればやわらかな土にもどる。そこでは春も夏も秋も、なにかしらの未生(みしょう)が芽ぶく。踏みつけられ、じゃまにされ、ときには生徒たちの気まぐれで引きぬかれる。それでも、したたかに生きのびて、コナラやクヌギのそれぞれの固有の名前があきらかになるころには、もう素手で引きぬくことなどできない。もはや確実に、緑陰をなす大木の後継者なんだ。・・・・この比喩がわかるか?私は君たちの話をしているんだよ。」


冬の木々_f0136828_19553148.jpg


写真は冬の日の善福寺川緑地公園です。
桜の木は丸坊主、楠は葉を茂らせています。寒い冬は人も少なく、閑散としています。
やがて春が来ればお花見の名所になる場所です。


虎猫
by covenanty | 2012-02-04 09:20 | エッセイ