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喜びの力

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「悪性リンパ腫です。」
妻と一緒に来るように言われ、診察室で告げられたのがこの言葉でした。
「リンパの癌です。治療法は世界的に確立しています。ただし、再発の可能性の高い病気です。それでも、医学の進歩は日進月歩です。希望を持って治療に取り組んでください。」

入院した時に、同じ病棟の女性の患者に声をかけられました。
「どの薬を使うか、吐き気などの副作用をどう抑えるか、それはお医者さんの仕事。お医者さんのおっしゃる通りに薬をちゃんと飲み、水を一日2リットル飲むように言われたらそのとおりにする、それが患者の仕事。
そして、この点滴、この注射の一本一本が効きますように、この薬の一粒一粒が効きますように、と祈るのです。」
神様がこの方を私のために使わされたのだと思いました。

抗癌剤の治療で頭髪は完全に抜けるとお医者さんに告げられました。
治療が始まる前に病院の散髪屋さんに行きました。
散髪屋の親父さんに相談すると、「5ミリくらい残していても、かえって始末に困りますよ。高校生みたいに丸刈りにしてしまうほうがよいですよ。」
ちょうど8月、甲子園真っ盛りの時でした。
これはいい!55歳会社員、転じて18歳甲子園球児になる!!
「やってください!」
丸刈りになった頭を見ながら、散髪屋さんが、「がんばってくださいね。」と言ってくださいました。
「ハイ!優勝目指して頑張ります!」悪乗りしてしまいました。

さらに悪乗りしました。
妻に作務衣を買ってきてもらいました。夏の普段着として、スーパーにも売っているのです。これを着てみると、まさにお坊さんそのままでした。
病院の近くに徳川家の菩提寺の増上寺がありました。
治療前で外出が許されていた時です。作務衣を着て散歩に出かけました。
お寺に着くと、若いお坊さんが丁寧に挨拶してくださいました。先輩だ、と思われたのでしょう。
一通り見学してお庭に出てみると、目に痛いほどの緑いっぱいの木立、一面の蝉しぐれでした。
その蝉たちが、「生きよ、生きよ、生きよ!」と鳴いているのです。
長く土の中で時を待ち、命の最後の日々を力の限り鳴いて、また土に帰っていく。その蝉たちの声をさえ、神様は私を励ますために用いられたのです。
「生きよ!生きよ!生きよ!」

「お前に時を与える。命の限り生きよ。」
あれから7年経ちます。髪の毛は黒々とよみがえり、経過観察で通院は続いていますが、幸いに再発には至っていません。
いただいた命、救われた命、無駄にするなという御声を、私はどこまで真摯に受け止めてきたのでしょうか。
あの時の覚悟を今一度思いだして、日々生きるしかありません。

まことに御怒りはつかの間、命は恩寵のうちにある。
夕暮れには涙が宿っても、朝明けには喜びの叫びがある。(詩篇30編5節) 


虎猫

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by covenanty | 2009-10-20 17:42 | エッセイ