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弱虫ギデオン((士師記第6~7章より)

「ギデオン様、全国から3万2千人の勇士が集まりました。」
「すごいやないか。それで、敵のミデヤン人たちは何人くらいや?」
「ざっと13万人から14万人といったところで・・」
「あかん、これじゃ勝てへん。どうしよう。」
「ギデオン様、あなた様には神様がついていらっしゃるのでしょう。奇跡を見せるように神様にお願いしてください。そうすれば兵士たちも奮い立つでしょう。」
「それもそうやな・・
神様、羊の毛を置いておきます。明日の朝、霜がこの羊の毛だけに降って、土地のほかの場所は乾くようにしてください。」
翌朝、ギデオンの置いた羊の毛だけに霜が降っていました。
「ギデオン様、まだ兵士らの中で『あれは何かの手品だろう。』などと言う者がおります。」
「まずいな、もう一回だけ神様にお願いしてみよう。
神様、神様、これが掛け値なしの最後の最後のお願いです。今日と逆に、明日の朝、霜が土地全体を覆い、羊の毛だけ乾くようにしてください。」
翌朝、果たして、今度は地面全体に霜が降り、羊の毛だけが乾いていました。

陣を張ったギデオンに、主の声が臨みました。
「ギデオンよ。」
「なんですか、神様。」
「お前の軍勢は多すぎる。勝っても自分たちの手柄と思うだけだろう。帰りたい者はここから帰らせなさい。」

「皆の者、聞け。明日は合戦だ。生きて帰れると思うな。イスラエルのために死ねる者だけが残れ。命を惜しむ者は遠慮はいらない。ここから帰りなさい。」
「ギデオン様、大変です。3人に2人は帰ってしまいました。残りは1万人です。」
「かまわん。残っているのは本当の勇士だけだ。1万人でも神が私たちとともにいる。」

「ギデオンよ。」
「なんですか、神様。」
「まだ兵士の数が多すぎる。水辺に連れて行って水を飲ませなさい。水の飲み方で真の勇士を選び出してやろう。」
兵士を水辺に連れて行くと、大概の者が、ひざまずき顔を直接水につけ、犬のようにぺちゃぺちゃと飲みました。ごく一部の者は、手で水をすくい、立ったままで手から水を飲みました。
ギデオンは神様のご計画がはっきりとわかりました。犬のように無防備に水を飲む者は勇士ではありません。水を飲むときも、周囲をうかがい、立ったままで水を飲む者こそが勇士です。
こうして、わずか3百人の本当の勇士が選び出されました。

その夜、主の声がしました。
「ギデオンよ。今夜こそ夜襲をかけろ。ミデヤン人らは下の谷にいる。一斉に山から駆け下りて攻め立てろ。」
「ひえ!今夜ですか!それはちょっと・・」
「どうした、怖いのか。それならまずは若い者ブラを連れて偵察に行ってみろ。」

ギデオンが若者ブラとともに偵察に行くと、谷にはミデヤン人たちがイナゴのように大勢集結しています。
そのひとりが仲間に話しかけています。
「いやな夢を見たぞ。大麦のパンが陣営に転がり込んできて天幕を倒してしまったのだ。」
「う~む。それはあのギデオンではないか。われらの陣営は神の手でギデオンに渡されてしまったのかもしれないぞ。」
この時、ギデオンは勝利を確信しました。

300人の勇士はギデオンの命令に従い、三隊に分かれ、手に持った「たいまつ」の火を壺で隠し、ひそかに山の中に散開しました。
そして、ギデオンの命令一下、壺を割って燃え盛るたいまつを高々とかかげ、息も切れよと角笛を吹き鳴らし、「主の剣だ、ギデオンの剣だ!」と大音声で呼ばわりながら、一斉に山を駆け下りました。
ミデヤン人たちは大軍の襲来かと恐怖に駆られ、逃げ出し、同士討ちをする始末。
さらにギデオンの命令で集められたイスラエル人たちが敗走するミデヤン人を追撃し、ついにイスラエルは大勝利を得たのです。

ギデオンは、臆病な弱虫でした。主は弱虫を用いられ、試練により勇士へと鍛え上げられたのです。

8月19日聖書同盟 小山田格 総主事のメッセージに基づいて

虎猫
by covenanty | 2012-09-04 21:00 | 聖書の話