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走れ!ザアカイ

ザアカイはエリコの町の取税人の頭で大金持ちですが、町の人には嫌われていました。規定以上の税金を容赦なく取り立てては私腹を肥やしていたからです。

そんなザアカイに、不思議になついてくれる少年がいました。
いつか、ザアカイがパン屋に取り立てに行ったとき、パン屋が「これでご勘弁を。」と大きなパンを差し出しました。パン屋を出たときに、物ほしそうな目つきの少年に会いました。
ザアカイは何の気もなく「そらよ。」とパンを少年に渡しました。
それ以来、少年は、店の掃除など雑用をしてくれるようになったのです。

その少年の声がしました。
「おじさん!ザアカイおじさん!」
「なんだ、お前か。パンはないぞ。」
「違うよ、おじさん、イエス様だよ、イエス様が来られたんだよ!」
イエス様?
ザアカイも聞いたことがありました。力ある言葉を語り、病の人を癒し、人びとに慕われ、救世主ではないかとあがめられている。・・・そんな方だと聞いていました。
外に出てみると、町の人がみな「イエス様、イエス様」といいつつ、どんどん走っていくではありませんか。もうだいぶ遠くまで行ってしまわれたのではないか。
「おじさん、こっち、こっち、先回りしよう!」少年は駆け出しました。
ザアカイはもともと小柄で太り気味。走るのは早くありません。前を走る少年を必死に追いかけました。少年は町の抜け道の狭い路地を突っ走っていきます。
「おじさん、ザアカイおじさん、走って走って、早く早く!」
少年は時折立ち止まっては、懸命にザアカイに呼びかけます。
走れ!ザアカイ。
ザアカイは自分で自分を必死に励まして走り続けました。
「おじさん、こっちだ。イエス様はこっちの方に来られるよ!」
もう待ち構える人々でいっぱいです。ザアカイが通してもらおうにも、みんな夢中です。それどころか、ザアカイとわかると、足を引っ掛けて邪魔する人までいます。
「おじさん、この木、これに登ればイエス様が見えるかも。」
少年が指差す木にザアカイは取りついて、懸命によじ登りました。
「なんだありゃ?」「ザアカイの野郎だぜ。」
「大きな木にへばりついて、まるでアブラゼミだね。」
下で見上げる人々が遠慮なく囃し立てます。熟れた果物を投げつけてくる人までいます。
ザアカイは木にしがみついてこらえました。
ちょうどそのとき、イエス様が来られ、上を見上げられました。
ザアカイはさっと血の気が引きました。こんなふうにイエス様を木から見下ろすなんて、とんでもない失礼をしたのではないか。イエス様に叱られるのではないか。
イエス様はおっしゃいました。
「ザアカイ、降りておいで。今日はお前の家に泊めてほしいのだ。」
ザアカイは、木から滑り降りてイエス様の足元に駆けよってひざまずきました。
町の人たちはひそひそとつぶやきました。
「あんな罪人のところに泊まるなんて。」
でもザアカイは立ち上がり、イエス様を自宅に迎えました。
「主よ、私の財産の半分は貧しい人々に施します。私がだまして取り上げたお金は4倍にして返します。」
イエス様はおっしゃいました。
「今日、この家に救いが訪れた。この人もアブラハムの子なのだから。
人の子が来たのは、失われたものを探して救うためなのだ。」

こうしてザアカイは約束通り、自分の財産の半分は貧しい人に、だました人にはその4倍を払いました。財産はきれいになくなってしまいました。
このうえは、身一つでイエス様のお弟子の端くれに加えていただこう。ザアカイがそう考えていると、またあの少年の声がします。
「おじさん、おじさん!」
「どうした、坊主。悪いけれどおじさんは文無しだぞ。パンも買ってやれないぞ。」
すると、少年は袋を差し出しました。少年の後ろに女の人が立っています。
「ザアカイ様。この子の母です。いつぞや私が病気の時にこの子にパンをいただきました。それから時折お駄賃もいただいたりして、お陰様ですっかり元気になりました。
うちの家のイチジクを干したものです。」
「おじさん、イエス様のところに行くんだろう。手ぶらじゃかっこ悪いだろ。
これ持って行ってよ。皆さんで食べてもらってよ。」
ザアカイは袋を持ちました。ずっしりと重い。きっと一生懸命に干しイチジクを作ってくれたのだな。そう思いました。
「おじさん。」また少年がいいます。
「今度は走らなくてもいいんだよ。イエス様はずっと待っていて下さるから。」
ザアカイは袋を背負い、少年と母親に手を振りながら、イエス様のおられる方へと歩き出しました。不思議なことに、少年と母親だけでなく、町の人々もみな手を振ってくれているのです。

(ルカの福音書第19章より)

虎猫

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# by covenanty | 2012-05-22 20:56 | 聖書の話 | Comments(3)

ドラマ「ブラックボード」

ドラマ「ブラックボード~時代と戦った教師たち~」の第一夜
(出演者:櫻井翔、大島優子、宮沢りえ、千原せいじ等)を見ました。

舞台は太平洋戦争終戦間際と、終戦直後の中学校です。
中学校の教師である、櫻井翔さんが演じる白濱先生に召集令状(赤紙)が届きました。
戦争に行く前、白濱先生は生徒たちに「お国のために命をささげろ。」と言いました。
その言葉を信じて、何人もの生徒が志願して戦争に行きました。
しかし、ある者は命を失い、ある者は視力を失い、
ある者は精神をやんでしまいました。

戦争が終わり、白濱先生は、敵の爆撃により右腕をもがれた姿で復員してきました。

そして、周囲の人にこわれて、中学校の教師に復職しました。

しかし、白濱先生は、戦場で、命ごいをする、
教え子と同年代の若い兵士を銃剣で刺して殺していました。

また、同僚の英語教師に
「自分なら、ついこの間まで敵性語だった言葉を教える気にはなれません。」
と言いましたが、
実は、捕虜になった時、収容所で、待遇を良くしてもらうために英語を覚えていました。

教え子の1人は
「死んでいった生徒への責任をどう取るんですか。」
「あんたに教える資格はない。」
と言って、白濱先生を責めました。

白濱先生は、悩んだ末、その教え子に
「人を殺し、腕をもがれ、命乞いをして帰ってきた、ぶざまな姿をさらし、
みなの言葉を受け止めることが未来を教えることだと思う。」

と答えました。

私は日曜学校(教会学校)の教師をしています。
私も「自分のような立派な人になりなさい。」と言うのではなく、
自分は、いかに罪深い者であるか、
しかし、そのような自分にも、神様が、いかに多くの恵みを注いでくださっているかを
証しする者でありたいと思います。

「ふたりの人が、祈るために宮に上った。
ひとりはパリサイ人で、もうひとりは取税人であった。
パリサイ人は、立って、心の中でこんな祈りをした。
『神よ。私はほかの人々のようにゆする者、不正な者、姦淫する者ではなく、
ことにこの取税人のようではないことを、感謝します。
私は週に二度断食し、自分の受けるものはみな、その十分の一をささげております。』
ところが、取税人は遠く離れて立ち、目を天に向けようともせず、
自分の胸をたたいて言った。
『神さま。こんな罪人の私をあわれんでください。』
あなたがたに言うが、この人が、義と認められて家に帰りました。
パリサイ人ではありません。
なぜなら、だれでも自分を高くする者は低くされ、
自分を低くする者は高くされるからです。」
(ルカの福音書18章10~14節)


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# by covenanty | 2012-05-16 21:20 | 本・映画・ドラマ | Comments(6)

母の日礼拝

今日は母の日礼拝でした。
聖書同盟(CSK。聖書通読運動や中学生伝道などに取り組んでいる団体)の
小山田格 総主事が「求め続けた母親」というメッセージをしてくださいました。



礼拝メッセージはこちらで聞いてください。


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# by covenanty | 2012-05-13 21:46 | 教会行事・集会 | Comments(6)

新緑の「府中市郷土の森博物館」

武蔵野の台地と多摩川の自然を利用して造られた郷土の森博物館は、府中の自然と歴史に関するテーマパーク。江戸から明治、大正時代の建物を移築復元した建築博物館と郷土の資料が展示された屋内博物館。また、多摩川の流れでつくられたハケ(府中崖線)など、敷地全域が自然と歴史の博物館になっています。
(出典「関東地方 公園情報ガイド[Park Navi]「郷土の森博物館―東京都府中市」より)

4月28日(土)
目に痛いほどの新緑の中を散歩しました。


幾度か来たことがありますが、こんな清冽な滝があるとは知りませんでした。


どこにカメラを向けても心洗われます。


14万平方メートルの敷地全体が博物館です。
その博物館本館もおすすめです。
府中にまつわる展示も多数ありますが、プラネタリウムや全天周映画を低廉な料金で見ることができるのが、特に気に入っています。
あの小惑星探査船はやぶさの映画もここで見ました。
ホームページはこちら

虎猫

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# by covenanty | 2012-05-09 20:29 | エッセイ | Comments(3)

読書の喜び「テルマエ・ロマエ」

古代ローマの浴場設計技師ルシウスが、ひょんなことで現代日本にタイムスリップし、そのユニークな風呂文化に感激して、古代ローマにアイデアを持ち込み、新しい浴場をつくっていく。
何とも破天荒な漫画が大人気になっています。
「面白そうだな。」と話題にすると、娘が第1巻を買ってきてくれました。
夢中で読んで、次の日、今度は私が第2巻から第4巻まで買ってきました。読み終えて娘に渡し、いま娘は通勤の帰りに読んでいるそうです。

技師ルシウスは、現代日本の「平たい顔族」が気持ちよくつかる銭湯にタイムスリップ。
富士山の絵に着想を得て、古代ローマの浴場にヴェスビオス火山の絵を描き、湯上りにフルーツ牛乳をサービスしたところ大繁盛。
重い病にかかった執政官が「自分の別荘でヴェスビオス火山を見ながらお風呂に入って最後の日々を過ごしたい。」とルシウスを呼び寄せます。日本の露天風呂にヒントを得た露天を作り、温泉卵を勧めると、たちまち執政官は病から回復。
山賊たちも風呂の心地よさに感激して改心し、ルシウスと共に温泉街づくりに成功。山賊の一人は日本仕込みのラーメン餃子店(?)を開店!

このハチャメチャな成功物語の陰には、文字通り素っ裸で現代日本にタイムスリップした異形の古代ローマ人ルシウスを温かく迎える現代日本の庶民の姿、現代日本の風俗習慣があります。
ローマに帰れなかったらどうしようと頭を抱えるルシウスに、おっちゃんの一人がフルーツ牛乳をごちそうします。そのうまさに大感激。
自宅の風呂場に突然現れたルシウスを外人ヘルパーさんと間違えたおじいちゃんが「慣れないのに大変だのう。」とねぎらいつつ、入浴の作法を懇切丁寧に教えます。
ローマ属州の退役兵たちが浴場で傍若無人な振る舞いをして鼻つまみ者になっています。ルシウスは、現代日本で入浴マナーを外人さんに教える張り紙にヒントを得て、古代ローマの浴場に入浴マナーの石の浮き彫り(レリーフ)を備えます。退役兵たちもそのレリーフにならって、心地よく入浴を楽しむのにはマナーを守ることだと気がつく・・・
この漫画は、日本の風呂文化の奥の深さを語り、私たちにこの国で生きることの喜びと誇りを思い起こさせてくれるのです。

そして、ハドリアヌス皇帝が、市民の人気取りにユニークな浴場をつくってくれとルシウスに命令。
家族連れや特に子供たちも一緒に楽しめるようにウオーター・スライダーつき浴場を作ってみると、大人のほうが夢中になって、子供たちはいつまでたってもスライダーにのれない始末。
困り果てたルシウスに、若きマルクス(後の賢帝マルクス・アウレリウス)が言います。
「大人たちも新しくて楽しいことを待っていたのです。間もなく飽きるでしょう。それまで待てばよいのです。」
そう、私たちもこんな新しくて楽しい漫画を待っていたのです。そして、当分飽きそうにありません。

マンガ大賞、手塚治虫文化賞短編賞ダブル受賞。
ゴールデンウィークには映画もはじまります。本日(4月26日)の朝日新聞朝刊にはテルマエ・ロマエ協賛の全面広告が多数ぶら下がっていました。

原作漫画を読んだ方、映画を見た方のコメントを大募集中!

望みを抱いて喜び、患難に耐え、絶えず祈りに励みなさい。
(ローマ人への手紙第12章第12節)

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# by covenanty | 2012-04-28 20:04 | 本・映画・ドラマ | Comments(8)

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